Q.相続があった場合はどのような手続が必要なのですか?
A.酒類製造者または酒類販売業者が死亡し相続人が、酒類製造業または酒類販売業を引き続き行おうとする場合には『酒類・酒母・もろみ・製造業・販売業相続申告書』を遅滞なく、相続した酒類製造場または酒類販売場(販売場がない場合には、相続人の住所地)の所在地の所轄税務署長に提出する必要があります。
相続の場合には、通常の新規免許の申請の場合に比べて取得要件が緩和され、相続人が免許等を取り消され、三年経過していないことや未成年者または成年被後見人、被保佐人若しくは被補助人であるなど、以下の条件に該当しないものであるときは、その相続人は相続時において、被相続人が受けていた酒類製造業または酒類販売業免許を受けたものとみなされ、その旨が税務署長から通知されます。
- 酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けたことがないこと
- 酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けたことがある法人の取消原因があった日以前1年以内にその法人の役員であった者の場合には、その法人が取消処分を受けた日から3年を経過していること。
- 申請前2年内において国税又は地方税の滞納処分を受けたことがないこと
- 国税又は地方税に関する法令に違反して、罰金の刑に処せられ又は通告処分を受けた者である場合には、その刑の執行を終わり若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過していること
- 未 成年者飲酒禁止法、風俗営業法(未成年者に対する酒類の提供に関する部分のみ)、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法(傷害、暴行、脅迫 等)又は暴力行為等処罰に関する法律の規定により、罰金刑に処せられた者である場合には、その執行を終わり若しくは執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること
相続申告の取扱い
1.製造業又は販売業の相続申告の取扱い
製造業又は販売業の相続に規定する相続の申告は、引き続き製造業又は販売業を しようとする相続人が、相続の開始があったことを知ったときから社会通念上相当と認められる期間内にしなければならないものであるが、当該申告がその期間 後になされた場合であっても、やむを得ない事由に基づくものである場合には、相続の開始後遅滞なく申告があったものとして処理されます。
2.製造業又は販売業をしようとする相続人が2人以上ある場合
製造業又は販売業の相続の規定による申告をした相続人が2人以上ある場合において、その相続人全員が不適格者でないときは、当該相続人全員の共同の製造免許等となります。
(注) 同項の規定による申告をする場合において、引き続き製造業又は販売業をしようとする相続人が2人以上あるときは、そのうち1人が申告すれば足ります。
3.「包括受遺者」の範囲
製造業又は販売業の相続に規定する「包括受遺者」には、法人も含まれる。
4.「包括遺贈者」の意義
製造業又は販売業の相続に規定する「包括遺贈者」とは、遺産の全部又は一部を特定せずに一定の割合をもって他人に遺贈する者をいう。
相続による酒販免許の取扱い
1.相続申告者の欠格要件に該当するか否かの判定の時期
製造業又は販売業の相続の規定により申告があった場合において、当該申告をし た相続人が欠格要件の一に該当するかどうかの判定は、相続開始の時(被相続人の死亡の時)において該当していたかどうかによります。
2.共同相続の場合の留意事項
酒類製造業等の相続申告の規定により共同して相続することができるのは、相 続人全員が適格者である場合に限るものであり、その一部の相続人に不適格者があるときには、共同相続はできないものであるから申告書の審査に際しては、相 続人中に不適格者があるかどうかについて留意する。
3.共同免許者に対する要請
製造業又は販売業の相続の規定により2人以上の相続人が酒類等の製造免許又は 酒類の販売業免許を受けた者とみなされた場合には、法に規定する申告、承認申請の手続又は通知の受理等については、これらの者のうちの1人に委任させるものとし、委任した場合にはあらかじめ委任の事実を証する書類を提出しなければなりません。
4.販売場を有しない酒類の販売業の相続
販売場を有しない酒類販売業を引き続きしようとする相続人が2人以上であって、それらのそれぞれが製造業又は販売業の相続に規定する申告をした場合において、その全部の者又は一部の者が不適格者でないときは、その不適格者でない相続人は、それぞれ住所地において販売場を有しない酒類の販売業免許を受けたものとみなされることになります。